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毎月一首


【2月】早春呈水部張十八員外


(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)

【大意】
 都大路は春雨に濡れて、酥(あぶら)のようにつややかに光っている。遠目には青くかすんで萌えているように見える若草が、近づいてみれば、まだいくらも芽を出してはいない。一年中でもっともすばらしいのは、まさに春の今時分であろう。都長安の街一面に柳の緑がけむるころも好ましいが、それよりずっと風情があるのだ。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)

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 韓愈(768-824)は南陽(河南省)の人。柳宗元とともに韓・柳と併称されました。タイトルの「水部張十八員外」とは韓愈の弟子張籍のことで、「張籍に寄せる詩」という意味です。寒気に乾いた大地を潤し、絶えかけた緑を蘇らせて春雨が降る。その春雨が煙る中に、ささやかな春の訪れの兆候を見、春のやがて深まりゆくことを想像して喜ぶとともに、この季節こそが春の盛り以上に素晴らしいという繊細な感覚の作者の気持ちが感じられる作品です。
 以前、北京に住んでいた時、一番好きな季節は、今まで茶色一色だった景色に、柳の芽が少し芽吹き始め、遠目に淡い緑がかすかに揺れる早春の頃でした。これは、韓愈のいう通り、春の盛りよりもずっと、その訪れの喜びに溢れるステキな時季だと思います。

 

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