中国語の部

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毎月一首


【11月】登高


(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)

【大意】
 風は激しく吹き、空は高く澄みわたり、猿の鳴き声が悲しく聞こえる。揚子江の渚は清く、砂は真っ白で、その上を鳥が輪をかいて飛んでいる。果てしもない落ち葉は、寂しい音を立てながら散り、尽きることのない長江の流れは、あとからあとから沸き立つように流れてくる。故郷を万里も離れた他郷の地で、もの悲しい秋にあい、またも変わらず旅人の身だ。そのうえ生涯病気がちで、この重陽の節を迎え、一人でこの高台に登った。思えば苦労を重ねたため、真っ白になってしまった鬢の毛がとても恨めしい。老いぼれてしまったので、せめても慰めとしていた濁り酒を飲むことも、最近やめてしまった。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)

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 大暦二(767)年、杜甫五十六歳の作といわれるこの詩は、四聯とも対句になっており、前半は第一句が上、第二句が下、第三句が広がり、第四句が奥行きと、秋の風景を立体的に描いています。後半は哀痛を極める感慨が呼び起こされ、その悲しみを晴らす酒さえも老いぼれてしまって飲めなくなったと嘆き、遠く故郷を離れ重陽の節句を迎え、台に登り、自己の悲哀をうたった作品です。杜甫のこうした立体的な風景描写は、本当に見事ですね。

 

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