【10月】楽遊原
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
夕暮れがせまってくると、なぜか心が動き、じっとしていられなくなる。車を走らせて気がついてみると、長安の街を一気に駆け抜け、古くからの行楽地である楽遊原の丘にのぼっていた。目の前の夕日は、すべてを包み込むようにして、限りなく美しく輝いている。だが、まてよ、この夕陽には、たそがれの闇が音もなく忍び寄ってくるのだ。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)
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この詩の中で最も印象的なのは、大きく真っ赤な夕日です。夕陽は限りなく赤々として美しい。しかし、それは黄昏時に近く、まもなく沈んでしまう運命だからなのでしょう。そのことを、とても直截的に述べています。
この年になると、こういう詩に心動かされるのは、やはり還暦を過ぎ、人生の黄昏時に差し掛かっているからなのかもしれません。秋は、いろいろ考えさせられる季節ですね♪