【11月】絶句
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
爆竹の音が鳴り響くなか一年が終わり、春風が暖かさを屠蘇の中に吹き込んでいる。都の数知れぬ家々に朝日がさしのぼる頃、どの家も古い護符を取り去り新しい桃の木の守札をつけている。
(黒川洋一他編『漢詩歳時記 春の二』,同朋社より)
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以前もご紹介したことのある詩です。王安石(おうあんせき)(1021~1086)は字は介甫、江西省の臨川を本籍し、詩人として名高いばかりでなく、文章家としても有名で、「唐宋八大家」の一人に数えられています。さらに、政治家としても傑出しており、22歳で科挙に合格、地方官を長きにわたり歴任した後、仁宗の下で「新法」と呼ばれる一連の革新的な諸政策を実施しました。この詩は、伝統的な春節(旧正月)の様子がストレートに伝わってくる詩です。中国にいる頃、北京をはじめ、様々な地方で春節を迎えましたが、爆竹・赤い春聯や提灯・年画・ご馳走等々、民族大移動(?)とともに、いずれも懐かしい思い出です。