【6月】送杜少府之任蜀州
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
私のいる長安城は、三秦一帯の防衛の牙城であり、三秦の安定を助けている。たちこめる曇りが望まれるところが、(あなたの任地である岷江の)五つの大きな渡し場なのだろう。あなたと解かれるその思いと言えば、私だって、官吏としての旅路の中にあって、貴君同様である。この世界の中に自分を理解してくれる者がいれば、(そこが)天の果て、地の果てと離れていようとも、隣近所のようなものである。分かれ道に立って、子供のように、ハンカチを涙で濡らすようなことをなさるな。
(碇豊長の詩詞『詩詞世界』より)
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この詩の第5・6の二句は、別れの時にはよく用いられる名句ですが、実に力強い印象に残る言葉です。王勃は初唐の詩人ですが、「滕王閣」にしてもとても力強く、印象的なフレーズが多いです。出会いと別れは人生においてつきものですが、別れ行く相手をこんな言葉で励まし送ることができたら、ステキですね。